一筋縄ではいかない「非線形構造」を解析する

想定外の「非線形」

ある物体に荷重をかけた時、そこに発生する変位が比例関係にある場合は「線形」、比例関係でない場合は「非線形」であるとされます。…文系人間には、なんのこっちゃ?という感じですが、物体が激しく変形するなど、いわゆる「想定外の変化」が起こっている場合は、その変化は「非線形」であると考えると、少しわかりやすいかもしれませんね。

比例関係にある線形の場合は、材料力学の式で計算によってすぐに答えを導き出すことができますが、複雑な変化をする「非線形」の場合は、材料力学の式の計算だけではすぐに答えを出すことはできません。たとえば、非線形の中には「幾何学的非線形」もしくは「形状非線形性」と呼ばれるものがあります。これは、物体が大きく歪んだり、回転などによって変化が生じる場合に起こる変形で、比例の関係で表すことができません。

また、金属などは想定外の荷重を受けると塑性(永久変形)を起こす場合があります。こうなると、やはり変形は単純に比例で起こるとは言えません。このような非線形は「材料非線形性」と呼ばれ、やはり一筋縄ではいかない複雑な挙動を示す形です。

そのほかにも、物体が接触している部分の状態によって、物体にかかる荷重と発生する変位が変わる非線形「境界条件非線形性」という非線形もあります。

いろいろな非線形シミュレーションソフト

これらの非線形性についてのシミュレーションを行うのは、非常に複雑な計算が必要になります。そのため、非線形性の計算を行う必要がある場面では、LS-DYNAなどのシミュレーションツールが多く利用されます。

オプトテック「非線形パルス伝搬シミュレーションソフト」やPTIの「構造解析ソフトウエア Femap with NX Nastran」、ITアシストコムの「電解解析ソフトウェア F-VOLT」、アンシス・ジャパンの「構造・熱解析ソフトウェアAnsys Mechanical」などなど、用途や特徴に合わせたさまざまな非線形解析ソフトウェアが販売されています。